シンガポールの宗教の種類・信仰の概況

シンガポールの宗教の種類は大きく5つあり、仏教、道教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教の順番で多いとされています。
その背景には、シンガポールは多民族国家であり、それぞれの民族背景に応じた宗教が浸透しているのです。シンガポールに多く見られる民族では、中華系(所謂華僑)、マレー系、インド系、その他諸々(日本人はここ)、と多民族が共存していて、英語、中国語、マレー語、タミル語の4つも公用語があり(参考記事:シンガポールの公用語)、彼らが信仰する宗教も様々、とシンガポールの民族文化に彩りを添えています。

日本では宗教活動に触れる機会は少ないと思いますが、シンガポールに身を置くと宗教をとても身近に感じるはずです。例えば、シンガポール生活で感じられるシンガポールの宗教事情は「異なる宗派の国民が共存し、お互いの宗教や文化を尊敬し合う」、まさに近未来的な国だという点です。
事実、シンガポール国内のアンケート調査によると、およそ87%以上の人がシンガポールでの日常生活において宗教的緊張を感じることはないと回答しています。

日本ではあまり馴染みのない宗教活動、慣習やイベントはシンガポールでは当たり前のように行われており、自分の信教ではない場合でも異宗教の友人や同僚のイベントに参加することは多くあります。また、それぞれの宗教を考えられれた建物設備や、会社においても休暇扱いなど丁寧にケアされています。
このように、シンガポールの宗教的な多様性は国の文化や社会に大きな影響を与えています。以下では、シンガポールの宗教について詳しく掘り下げていきます。

宗教別の人口割合比率

シンガポールの宗教別人口の割合は以下のとおりです。

  • Buddhism(仏教):約33%
  • Taoism(道教):約11%
  • Christianity(キリスト教):約18%
  • Islam(イスラム教):約15%
  • Hinduism(ヒンドゥー教):約5%
  • その他の宗教や無宗教の人々:約18%

2010年から2020年にかけて仏教、道教が増加傾向にあり、一方で無宗教(信仰がない)人口が17%→20%と3%増えているのも事実です。

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シンガポールの5大宗教の説明

それぞれの宗教に関する簡単な説明は以下のとおりです:

Buddhism(仏教)

シンガポールでは、多くの仏教寺院が存在し、仏教徒にとって重要な信仰の中心地です。
有名な寺院には、シンガポール仏教会やサカイサムプラサート寺院があります。

Taoism(道教)

道教は、中国系住民の間で広く信仰されており、祖先崇拝や儀式が行われます。
道教の寺院には、青雲殿(Thian Hock Keng Temple)などがあります。

Christianity(キリスト教)

キリスト教はシンガポールで急速に成長しており、多くの教会や聖堂が点在しています。
代表的な教会には、セント・アンドリュース大聖堂(St. Andrew’s Cathedral)があります。

Islam(イスラム教)

シンガポールのムスリムは、マレー系住民として主にイスラム教を信仰しています。
シンガポールには多くのモスクがあり、カマン・サリ(Kampong Glam)地区のスルタン・モスクは有名です。

Hinduism(ヒンドゥー教)

ヒンドゥー教徒は主にタミル系住民によって信仰されており、ディワーリ祭りなどの重要な祭りが祝われます。
シンガポールの有名なヒンドゥー寺院には、シリ・マリアマン寺院(Sri Mariamman Temple)があります。

シンガポールの有名な宗教施設のピックアップ

以下では各宗教における有名な寺院・教会・聖堂名をいくつかご紹介します。

Buddhism(仏教):Buddha Tooth Relic Temple

チャイナタウン駅から徒歩3分ほどのところに、ブッダの歯が祀られていると言われる有名な寺院があります。その名も「Buddha Tooth Relic Temple(新加坡佛牙寺龍牙院)」です。ここは観光地として知名度が高く、パワースポットとして様々な旅行観光者が訪れます。中に入ると数えきれないほどの仏像が黄金に輝いており、一度見ると忘れられないほどインパクトが強いです。また、神聖な寺であることから露出度の高い服装では中に入れませんのでご注意下さい。(入り口でスカーフなどの無料貸し出しがされていますが、今後変更があるかもしれません)

Singapore December 4, 2016 : Buddha Tooth Relic Temple, Located In China Town. The Temple Is Build With Tang Dynasty Style.

Taoism(道教):Thian Hock Keng Temple

道教は、中国系住民の間で広く信仰されており、祖先崇拝や儀式が行われます。
青雲殿(Thian Hock Keng Temple)はシンガポールで一番古い中国の道教寺院の1つとされ、国の記念建造物に指定されています。この寺院は1841年に中国福建省出身の華人民族に建てられました。

Christianity(キリスト教):St. Andrew’s Cathedral

キリスト教はシンガポールで急速に成長しており、多くの教会や聖堂が点在しています。
代表的な教会には、セント・アンドリュース大聖堂(St. Andrew’s Cathedral)があります。これはシンガポール最大の聖堂であり、レオナルドマクファーソン大佐によって設計された初期英国ご執行様式の有名な英国教会です。教会はシティ・ホール駅のすぐそばにあり、白く立派な教会で目を引く建築物です。

St Andrew's Cathedral In Singapore

Islam(イスラム教):Sultan Mosque

シンガポールのムスリムは、マレー系住民として主にイスラム教を信仰しています。
シンガポールには多くのモスクがあり、中でも有名なのはブギス・アラブストリートのKampong Glam地区に拠点を置くスルタン・モスク(Sultan Mosque)は有名な最古のイスラム教寺院です。別名マスジッド・スルタン(Masjid Sultan)とも呼ばれています。

Sultan Mosque 01

Hinduism(ヒンドゥー教):Sri Mariamman Temple

ヒンドゥー教徒は主にタミル系住民によって信仰されており、ディワーリ祭りなどの重要な祭りが祝われます。
シンガポールの有名なヒンドゥー寺院には、シリ・マリアマン寺院(Sri Mariamman Temple)があります。

Sri Mariamman Temple Tih


シンガポールの宗教的な景観は非常に多様で、エリアによっては異なる宗教施設が隣り合わせになることも少なくありません。

例えば以下のグーグル地図を見ると分かるように、華僑人口が比較的多いチャイナタウン駅周辺では、仏教のBuddha Tooth Relic Templeから徒歩3分圏内にイスラム教のジャマエ・モスク、ヒンドゥー教スリ・マリアマン寺院と隣り合わせになっています。このような異宗教と異エリアの融合というのは、めったに他の国では目にしない光景と言っても過言ではないでしょう。

Chinatown Multi Religion Singapore

シンガポールの宗教と生活空間、生活環境との関係性

シンガポールの宗教の存在は、普段の生活(スーパーやレストランなど飲食の場、建物などの施設など)のあらゆる場面で目の当たりにすることができます。以下は一部の例です:

1:ベジタリアンやHALALマーク入り食品の取り扱いがある

スーパーや飲食店ではベジタリアンやHALALに対応した食品の取り扱いが多くあります。
宗教によっては牛肉、豚肉を食べることを禁じられており、ベジタリアンという選択肢を持つひとも少なくありません。シンガポールのスーパーでは、ベジタリアン向けの調味料、食品や、イスラム教が買い物をする上で必須としている目印「ハラルマーク」がついたアイテムがたくさん揃えられています。

Vegetarian Option In Fairprice

出典:NTUC FairPrice, https://www.facebook.com/photo/?fbid=10157366979116409&set=pcb.10157366979646409

また、シンガポールは「ベジタリアンフレンドリー」な国の一つとして知られており、プラントベース食品(Plant-Based Food)の消費量は増えていくとされています。

Singapore Plant-Based Food & Beverages Market Trends

2:共用スペースで各宗教イベントが執り行われる

シンガポールは「宗教のハーモニー」を意識しており、例えばHDBの市民ホールでは各宗教のお葬式を開催したり、仏教の人々が旧暦の中元でお祈りをする時に紙を焼くための設備が整えられています。

religious-harmony-in-singapore

出典:CLC, シンガポールの宗教の共存に関する調査
画像(左):TEMPORARY SURAUS IN VOID DECKS FOR TERAWIH PRAYERS
画像(右):BURNING OF RELIGIOUS OFFERINGS

3:商業施設などに礼拝スペースがある

イスラム教徒は1日5回の礼拝をするため、日中仕事があったり、お出かけをする場合でもお祈りができるようにショッピングモールやオフィスビルなどには各商業施設ではお祈り部屋(Prayer Room)が設けられています。

prayer room in singapore

宗教的なお祭りやイベント事例

シンガポールでは宗教的なお祭りやイベントが盛大に祝われます。以下はその一部のイベント事例となっており、シンガポールでは国の祝日として指定されています。これらの祝日は宗教を問わず全国民がお休みとなり、万が一休暇が取れない場合は振替休暇を取得することを義務付けられています。

宗教的な祝日

  • Hari Raya Haji(ハリ・ラヤ・ハジ):イスラム教の祭りで、家族が集まり礼拝を行う重要な日です。

  • Hari Raya Puasa(ハリ・ラヤ・プアサ):イスラム教の断食明けの祭りで、家族や友人との団欒が楽しまれます。

  • 11/16 Deepavali(ディーパバリ):ヒンドゥー教の光の祭りで、カラフルなランプや花飾りが街を飾ります。

  • 12/25 Christmas(クリスマス):キリスト教の聖誕祭で、家族や友人との贈り物交換や祈りが行われます。

  • Lunar New Year(旧正月):春節とも呼ばれ、中国系住民によって祝われ、家族団らんや縁起物の交換が行われます。 

シンガポールの宗教と宗教的な行事は国の文化や社会に深く根ざしており、多様性を尊重しながら共存しているのです。