さまざまな宗教を信仰する人が暮らす、多民族国家シンガポール。国民の祝日はどのようになっているのでしょうか?

シンガポールでは、国民全体の祝日と、宗教・民族ごとの祝日の両方があります。それぞれの宗教や民族の大切な日も、国全体の祝日として定めているのです。そんなシンガポールの祝日について、詳しくご紹介します。

シンガポールの祝日事情

シンガポールの祝日は、1年に11日。この11日は全ての会社が原則休みになります。日本は16日あるので、日本と比べるとシンガポールの祝日日数は少なくなっています。(空気を読む日本人は、祝日を多めにしないと仕事を休みにくいのかもしれませんね)

シンガポールの祝日の特徴は、国としての祝日と、宗教・民族ごとの祝日の両方があること。そして、祝日がそれぞれの暦にもとづくため、その多くは日付が毎年変わることです。

日本では、ハッピーマンデー制度という法律によって日付が変わる祝日がありますが、宗教や民族が理由で祝日の日付が変わるというのは、他民族社会のシンガポールならではですね。

シンガポールの祝日一覧

2023年のシンガポールの祝日は、以下の通りです。シンガポールが国で定める祝日は1年を通して合計11日あり、全国的な選挙の投票日は祝日扱いとなります。2023年は、9月1日に大統領選挙が行われたため祝日となり、祝日の日数は12日となりました。日本は年に16日あると言われているため、シンガポールの祝日は4〜5日少ないことになります。

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    1月1日:New Year's Day(新年)

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    1月22~23日:Chinese New Year(中華文化の旧正月)

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    4月7日:Good Friday(キリスト教の祝日)

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    4月22日:Hari Raya Puasa(イスラム教の祝日)

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    5月1日:Labour Day(メーデー:労働者の日)

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    6月2日:Vesak Day(仏教の祝日)

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    6月29日:Hari Raya Haji(イスラム教の祝日)

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    8月9日:National Day(独立記念日)

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    9月1日:Polling Day(大統領選挙の投票日*選挙があるときのみ)

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    11月12日:Deepavali(ヒンズー教の祝日)

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    12月25日:Christmas Day(クリスマス、キリスト教の祝日)

シンガポール政府は、これらの祝日には仕事を休むよう定めています。キリスト教徒であっても、仏教やイスラム教、ヒンズー教の祝日もお休みになります。祝日に仕事をする必要があれば、会社は割増賃金の支払いや代休を付与することが求められます。

シンガポールでも祝日には出かける人が増えるため、人気スポットは混雑することになります。例えば、お手軽なお出かけ先でもある隣国、マレーシアとの国境にある検問は長蛇の列になります。加えて、マレーシアは国民の60%以上がイスラム教徒であるため、イスラム教の祝日であるHari Raya PuasaとHari Raya Hajiの日は輪をかけて混雑するので、国境を越えるために数時間待つこともあるほどです。

政府が定めていない祝日

シンガポールには、政府が定めていない祝日もいくつかあります。その一例が、9月第1金曜日のTeachers Day(先生の日)と、10月第1金曜日のChildrens Day(こどもの日)です。

Teachers Dayは、生徒が先生に感謝をする日です。当日は学校が休みになるので、その前日に生徒達がパフォーマンスをしたり、手紙を贈ったりして感謝の気持ちを伝えます。

そして、Childrens Dayは子供の健全な成長を願う日。Teachers Dayと同じく学校は休みになるため、前日に先生から生徒へ文房具などの簡単なプレゼントが渡されることが多いようです。

その他にも、宗教ごとの祝日がありますが、National Holiday(国が認める祝日)にはなっていません。

宗教・文化による祝日

シンガポールには、中華系やマレー系、インド系などさまざまな民族の人が住んでいます。こうした民族や文化、宗教ごとの慣習に由来する祝日が設定されていて、祝日の過ごし方もそれぞれの特徴が出ています。

Chinese New Year(中華文化の旧正月)

「春節」と呼ばれることもある、中華文化の旧正月。1月下旬〜2月中旬の時期で、旧暦に基づいて日付が設定されるため、毎年日付が変わります。

旧正月が近づいてくると、各家庭や街中が旧正月に向けた準備を始めます。1か月ほど前から、ショッピングモールでは旧正月のお祝いアイテムを販売し、各家庭では家の玄関や棚などに赤い飾りを置いたりします。街中、縁起の良い「赤色」と「金色」に染まるのです。

良い年を迎えるために掃除をするのは、日本人が年末に大掃除をするのと似ています。そして、多くの人は実家に帰省し、家族で食事をして旧正月を祝います。

公共のイベントとしては、「チンゲイ・パレード」が有名です。数々のフロートが道を行くカーニバルのようなイベントで、賑やかな音が邪気を払うといわれています。このチンゲイ・パレードは中華系だけでなくマレー系など他民族の人、そして日本人も参加していて、着物でパフォーマンスをしたり、獅子舞を披露したりしています。それぞれの民族を知ることができる、ユニークなイベントです。

Hari Raya Puasa、Hari Raya Haji(イスラム教の祝日)

イスラム教では、断食明けを祝うHari Raya Puasa(ハリ・ラヤ・プアサ)と、メッカ巡礼祭であるHari Raya Haji(ハリ・ラヤ・ハジ)という祝日があります。

Hari Raya PuasaのPuasaは「断食」という意味で、この断食を終えたことを祝う日です。イスラム教の断食は「ラマダン」と呼ばれ、夜明けから日没までの断食を1か月間続けるものです。ラマダンを終え、お祝いをする日なのでとても盛り上がります。

このラマダン期間は、料理や服を売る屋台が立ち並ぶバザールが開かれ、日没後にとてもにぎわいます。

イスラム教徒は、Hari Raya Puasa当日の朝、モスクでお祈りを捧げてから、家族や友達とラマダン明けをお祝いしながら食事を取ります。

Hari Raya Hajiは、預言者アブラハムが自分の息子を神に捧げようとした意志を偲んで、世界中のイスラム教徒にとって聖なる祝日です。伝統的には、モスクで祈りが捧げられ、説教が読み上げられたあと、神への忠誠を示すためヤギや羊などを屠殺して、必要とする人たちで分け合います。

ただし最近では、シンガポール国内で屠殺されることはほとんどなくなっているそうです。噂では、ヤギの屠殺を海外へ外注するなど合理的なお祝いの仕方になっているとか・・・。また、Hari Raya Puasaと同じようにバザールも開かれます。街が華やかな装飾であふれ、ムスリム以外にも観光客や地元の住民もバザールに出かけます。

Vesak Day(仏教の祝日)

仏教徒が祝うVesak Day(ベサク・デー)は、お釈迦様が誕生した日、悟りを開いた日、入滅(亡くなった)日です。

Vesak Dayには、夜明け前から寺院に仏教徒が集まって、お花や線香などをお供えします。また、この日に善行をすると徳が積めるとされているため、献血活動をしたり、生活に困っている人へ寄付をしたりすることもあります。

夕方になると、仏像がライトアップされたり、キャンドルパレードが行われたりして、Vesak Dayが締めくくられます。

Deepavali(ヒンズー教の祝日)

ヒンズー教徒の祝日であるDeepavali(ディパバリ)は「光のフェスティバル」とも呼ばれていて、リトルインディアと呼ばれるインド人街が、あらゆる光の装飾で彩られます。これは、Deepavaliが「闇(悪)に勝つ光(善)を祝う祭り」とされているからです。

その他にも、パレードやイベント、屋台などがあり、お祭りムードが1か月間ほど続きます。ヒンズー教徒は新しい民族衣装を着てDeepavaliのお祝いをするため、屋台にはカラフルなドレスがたくさん並んでいます。

そして、当日は寺院に行った後、自宅でランプを灯して、プレゼントを交換したりごちそうを食べたりする習わしがあります。

Good Friday、Christmas Day(キリスト教の祝日)

最後にご紹介するのは、キリスト教の祝日です。シンガポールでは、キリスト教徒が国民の18%ほどいて、主要な宗教のひとつになっています。

Good Fridayは、イエス・キリストが処刑された日であり、その3日目の日曜日がイエス・キリストが復活した日であるイースターです。キリスト教徒は、Good Fridayには教会で礼拝をした後、家族や友達と食事をするのが一般的です。この日に洗礼を受ける人も多いようです。

Christmas Dayは、他の宗教を信仰する人も含めて、1年でもっとも盛大に祝われる日です。街中がツリーやイルミネーションといったクリスマスの飾り付けに囲まれます。イベントやコンサートなども至るところで行われ、毎日がお祭りムードになります。

そして、キリスト教徒は教会でミサに参加して、家族で食事をしてクリスマスを祝います。

日本と違うのは、亜熱帯気候のシンガポールでは、真夏のクリスマスだということ。暑い中イルミネーションを眺めるのは、日本では考えられませんね。

その他の祝日

シンガポールでは、1月1日は政府が祝日に定めていますが、日本のように三が日をおやすみとはしません。仕事が休みになるのは、長くとも1月2日までであることが通例です。

5月1日のLabour Dayは、世界的には「メーデー」と呼ばれることが多いと思います。「労働者の日」であるこの日、シンガポールではイスタナ(大統領官邸)が一般公開され、多くの人が見学に訪れます。

8月9日の独立記念日は、1年の中でもっともシンガポールがお祭りムードに包まれる日です。シンガポールがマレーシア連邦から分離・独立をしたのは、1965年。

独立記念日が近づくと、国じゅうの至るところに国旗が飾られ、航空ショーのリハーサルが何度も行われるなど、当日に向けた盛り上がりが感じられます。

当日は豪華絢爛な航空ショーのほか、軍事パレードや花火の打ち上げが行われます。さまざまな民族による歌や踊りのパフォーマンスもあって、国全体で独立を祝う特別な一日です。

まとめ

それぞれの民族のお祝いを国民全員でするシンガポール

シンガポールは、どの民族の祝日であってもお互いの信仰を尊重し、国全体としてお休みになるのです。さまざまな民族の文化を身近で感じられるのは、シンガポールならではの暮らしといえます。